◎ 相続時精算課税制度とは?



贈与税 及び 相続税を通じた一体化措置(平成15年1月1日以後の相続又は贈与から)



◆ 相続時精算課税制度 ◆

(相法21条の9)
  • 65歳以上の親から20歳以上の子への贈与について、
     選択制により、贈与時に軽減された贈与税を納付し、
    相続時に相続税で精算する一体化措置 (制度)

    平成25年度 税制改正 (→)


  • 適用対象者
    贈与する者は65歳以上の親。 受贈者 (贈与を受ける者) は20歳以上の推定
    相続人
    (代襲相続人を含む。廃除等の欠格事由のある者は除く)で直系卑属である者
  • 年齢 (20歳と65歳) は、贈与があった年の1月1日現在で判定する

  • 住宅資金贈与から入れば、65歳未満の親からの贈与についても使える
    <例>
    65歳未満の父から、住宅取得資金 2000万円、
      有価証券 1000万円の贈与を受けた
     ○ 住宅取得資金
    2000万円−500万円(住宅資金特別控除)−1500万円(特別控除)=0
     ○ 有価証券 1000万円−1000万円(特別控除)=0



    適用手続き
    相続時精算課税制度を選択しようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄税務署長に対し、その旨の 『届出書』 を、贈与税の申告書に添付し提出します
     (提出期限についての宥恕規定がなく、提出された 『届出書』 は、撤回できない)
    《選択の方法》
    受 贈 者 贈 与 者
    子 は  親 は
    兄弟姉妹が
    それぞれ
    別個に選択可
     父・母ごとに
    選択可
    <期限内申告 ・ 届出が条件>

    適用対象となる財産等
    贈与財産の種類や金額、贈与の回数には制限なし


    贈与税・相続税の計算
    (1)贈与税の計算
  • この制度を選択した受贈者(子)は、この制度に係る贈与者(親)からの贈与財産について、他の贈与財産と区分して、申告をします
  • その贈与者からの贈与財産の価額の合計額から、複数年に亘り利用できる2500万円 (特別控除額) を控除した後の金額に、一律20%の贈与税を支払う

  • この制度を選択した受贈者が、この制度に係る贈与者以外から贈与を受けた場合には、その贈与財産の価額の合計額から基礎控除110万円を控除した後の金額に、一般の贈与税率を乗じた贈与税額を計算します

  • (2)相続税の計算
  • この制度を選択した場合で、その贈与者(親)に相続が発生したときは、それまでのこの制度による贈与財産を相続財産に加えて相続税額を計算します

  • 計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を控除して納付額を計算します。支払った贈与税額の方が多い場合には、還付を受けることができます。
  • 相続財産に合算する贈与財産の価額は、贈与をした時の時価とされます

  • 上記(1)の贈与の申告モレがあっても、贈与を受けたものは相続財産に入れます



  • < 従来の贈与税 と 新税制の比較 >
     従 来 の 贈 与 税相 続 時 精 算 課 税
    税金の計算(贈与額 − 110万円)X 累進税率(贈与額 − 2500万円)X 20%
    贈与の条件
  • 問わない(誰にでも贈与OK)
  • 65歳以上の親から20歳以上の子
  • 住宅資金贈与の場合は、親の年齢制限なし
  • 相続税との関係
  • 相続税とは、切り離し計算
    (相続開始前3年以内は贈与時の価額で加算の対象)
  • 相続税の計算時に精算 (合算) され
  • 贈与時の時価で評価される
  • 納  税
  • 暦年単位で計算し
    翌年2月1日〜3月15日に納税
  • 贈与時に一度納税し、相続時に精算
    不足額は追加納税、超過額は還付される
  • 制度の移行
  • 従来の贈与税の適用後、新税制への移行はOK
  • 新税制を選択した後、従来の贈与税へ移行することはできない
  • 相続税の節税効果
  • ある。基礎控除110万円は贈与税無税。相続税も3年内の贈与でなければ相続税の対象外
  • 少ない。2500万円の特別控除額はあるが、相続時に相続財産に合算され、相続税の前払いとして精算される
  • 大型贈与の可能性
  • 多年にわたり、多人数であれば可能
  • 2500万円の特別控除があり、大型贈与しやすい。 特に
     住宅資金贈与は非課税枠が3000万円


  • 相続時精算課税制度の活用 と 注意点 (争族対策→)

    非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度 (事業承継税制→)



    ≪財産に戻る≫

    ≪負担付贈与に戻る≫  ≪物件贈与に戻る≫  ≪小規模宅地の特例に戻る≫


    ≪住宅資金贈与に戻る≫  ≪住宅用家屋に戻る≫  ≪(企業)事業承継に戻る≫



    若年世代に財産を早期に移転する為の「相続時精算課税制度」は、贈与税を相続税の前払いとして捉え
    た従来にない全く新しい考え方をしています。 税金的には 損得なしですから慎重に検討したいものです




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    tel:06-6681-2144  税理士 服部行男
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